› 藤本屋の和菓子彩々 › 2016年06月

この広告は365日以上更新がないブログに表示されます。  

Posted by 滋賀咲くブログ at

2016年06月27日

上生菓子「朝顔」

紫、青、濃紺、水色、赤、ピンク、茶、白…、等とたくさんの色の種類がある花、朝顔。

けれど、和菓子にするならやはり赤色系でしょうか。


上生菓子「朝顔」

小豆のこしあんをねりきりで包み、寒天をのせています。見た目にも涼しげな一品です。


さまざまな色のある朝顔の花ですが、黄色い色の朝顔は園芸店でも見かけたことがありません。

それもそのはず、黄色い朝顔は「幻の花」と呼ばれ江戸時代を最後に日本では栽培されていないそう。

ゆえにその神秘性は高まり、東野圭吾さんらの小説の題材にもなっているほど。

けれど調べてみますと、専門家の間では今黄色い朝顔の開発がされていて、黄色い朝顔の写真もネットにのっていました。きれいです。


が、従来の赤や紫色の朝顔はやはり夏の朝にはぴったりの色。夏の真っ青な空に映えるせいでしょうか。
我が家でもグリーンカーテン用に朝顔を植えました。花の咲くのが今から楽しみです。
色は空とおんなじ青色ですが。


上生菓子 一個 170円です。

☎ 0749-62-0804

ホームページはこちらです。


  


Posted by 藤本屋 at 10:54Comments(0)上生菓子

2016年06月24日

茨木のり子詩集

自らに喝を入れたようなタイトルのこの詩集。

この中の「落ちこぼれ」という詩を紹介します。


落ちこぼれ

 和菓子の名につけたいようなやさしさ

落ちこぼれ

 いまは自嘲や出来そこないの謂(いい)

落ちこぼれないための

 ばかばかしくも切ない修業

落ちこぼれにこそ

 魅力も風合いも薫るのに

落ちこぼれの実

 いっぱい包容できるのが豊かな大地

それならお前が落ちこぼれろ

 はい 女としてはとっくに落ちこぼれ

落ちこぼれずに旨げに成って

 むざむざ食われてなるものか

落ちこぼれ

 結果ではなく

落ちこぼれ

 華々しい意志であれ


なんと勇ましい詩でしょうか。人を測る物差しの小ささや、ジェンダー的なものへの抗い、そんなものが込められているような気がします。

なのに「落ちこぼれ」「落ちこぼれ」と口にしているうちに、「落ちこぼれ」がなんだかコロンとしたかわいらしいお菓子みたいに思えてきました。これを和菓子にするなら、どんな素材で、どんな形で、どんな色で形作ろう…。頭の中で想像してみました。

小さくかわいらしいお菓子が出来ました。私の中で。小さくても意志のある形、色。そして口当たりはちょっと歯ごたえのある感じ。



せっかくなので、この詩集の表題作も紹介します。


「自分の感受性くらい」


ぱさぱさに乾いてゆく心を

ひとのせいにはするな

みずから水やりを怠っておいて


気難しくなってきたのを

友人のせいにはするな

しなやかさを失ったのはどちらなのか


苛立つのを

近親のせいにはするな

なにもかも下手だったのはわたくし


初心消えかかるのを

暮しのせいにはするな

そもそもが ひよわな志にすぎなかった


駄目なことの一切を

時代のせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄


自分の感受性くらい

自分で守れ

ばかものよ


たしか中学か高校の教科書に載っていたので、ご存知の方も多いはず。

改めて読むと、叱咤されますね。心地よく。


  


Posted by 藤本屋 at 16:05Comments(0)和菓子本

2016年06月22日

「くず桜」はじめました

丸い透きとおったおまんじゅう。

「くず桜」です。


小豆のこしあんをくず粉を錬ったものでくるみ、桜葉で包みました。


くず粉というのは葛という植物の根っこから採れたでんぷん質のこと。

風邪薬「葛根湯」でおなじみの、薬効成分もある「葛」。

昔、お腹の調子が悪くなると、葛湯を飲まされた…という方も多いはず。


葛粉というのは面白い性質があり、熱を加えると透明になります。


これは成型して蒸す前のくず桜


蒸した後がこちら

葛マジックです。

そしてこのできあがったくず桜は冷やして食べていただくのが美味しいのですが、冷やしすぎたり、時間がたちすぎたりすると、また白く硬くなってしまうので要注意なのです。

お買い上げになったらすみやかに、冷蔵庫で10分~15分ほど冷やして食べていただくのがベストかと思います。


☎ 0749-62-0804

ホームページはこちらです。

  


Posted by 藤本屋 at 13:16Comments(0)季節菓子

2016年06月16日

思い出

ほんの些細なきっかけで、長いあいだ引き出しの中に眠っていた思い出を、ふっと取り出すことがあります。

先日、お客様の家に配達に行った時の事。
その家には大きな犬がいて、家の横のコンクリートの上で、ぐっすりお休み中だったのです。
犬がちょっと苦手な私は、これ幸いとそーっと、ほんとにそーっと玄関までゆき、静かに扉を開けました。
そして、「ごめんください。」とおさえぎみの声でお客様を呼ぶと、その「ごめ…」くらいのところで私の腕のあたりに大きな鼻先のあるのに気がつきました。何をするでもなく、ただ私の真横に顔を携えている、そんな風でした。
音もなく、風のようにやってきた犬。

私は早くこの状況から逃れたくて、もう一度「ごめんくださーい。」と呼んでみました。右腕に緊張感が。
まさか噛まれるなどとは思っていませんが、なぜか右腕をかばうような姿勢になり、「あ、この感覚、遠い昔にあったな」と思い出したのです。


7歳の時、引っ越しをしました。同じ校区内の近距離の引っ越しだったのですが、7歳の私にはそれがちょっとした事件だったのです。
当時ピアノを習っていました。引っ越す前のご近所にピアノの先生がおられ、随分可愛がってもらい、私はその先生が大好きでした。それで、引っ越してもピアノは続けることにしました。ところがです、引っ越したばっかりに、道中に問題発生。そうです。犬がいたのです。

母に作ってもらった赤いレッスンバックに「バイエル」とノートを入れ、それをぷらぷらさせて歩いて行くと、道の左側に大きな犬が。しかもがんがんほえるのです。
私は面食らってあわてて右側によりました。ですが付いている鎖が長く、私が細い道の最右に寄っても鼻先がとどく位に近くまでよってきます。左腕のあたりが緊張でばきばきでした。その感覚を今でも覚えています。たぶん赤いレッスンバックは右手に持ちかえていたと思います。

(このレッスンバックがいけないんだ。)
と思いました。友達から聞いたことがあったのです。犬は赤い色を見ると肉だと思って近寄ってくるんだと。
当時(昭和40年代)はまだ野ばなしの犬が多く、小学校の運動場などにもよく目つきの悪い野良犬が入り込んできたものでした。
そんな時に聞いた話だと思います。それをすっかり信じこんでいた私は、家に帰ると早速母親にレッスンバックを変えてくれとせがみました。その結果、変えてもらえたのかどうかは忘れましたが。

その一か月後、なんと私はピアノをやめてしまいました。イヌのせいと記憶しているのですが、案外ピアノの難しさに嫌気がさしてきた頃だったのかもしれないなと、今となっては思います。


お客様の家で品物をそそくさと置いて、私は犬の顔を見ることもなくとんで帰ってきました。いい大人が情けない…と思わなくもないですが、思いがけず小さな自分に出会えて、ちょっとうれしかったです。




               


Posted by 藤本屋 at 18:28Comments(0)ひとり言

2016年06月15日

上生菓子「紫陽花」

変化するといわれる花、紫陽花。

薄い水色だった花が紫、そして赤へ…。そんな紫陽花に出会った方も多いのではないでしょうか?
土によって紫陽花の花色は変わると言われています。
一株の花なのに、その中でも赤いのがあったり青いのがあったりもします。それは、土の中のアルミニウムを根がたくさん吸うか吸わないかによって変わるそうです。だから、同じ土壌に育った株の中にも、色の変化が現れるのですね。

上生菓子「紫陽花」


黒のこしあんを白の錬りきりあんで包み、水色やピンクに色づけしたあんをところどころにのせます。淡いピンク色に染めた錦玉(寒天)をサイコロ状に切り、上に並べて、最後に溶かした寒天をぬり、つやを出しします。

雨上がり、花の上に残った雨粒が陽の光に照らされると、なんともいえず綺麗ですよね。まるで宝石のように。

紫陽花。この季節ならではの花、そしてお菓子です。
ちょっと冷やしてからお召し上がりいただくと口当たりがいいですよ。

上生菓子 一個 170円です。

☎ 0749-62-0804

ホームページはこちらです。

  


Posted by 藤本屋 at 13:07Comments(0)上生菓子

2016年06月11日

上生菓子「紅あじさい」

上生菓子「紅あじさい」


深みのある赤い色の寒天を錬りきりあんの周りに散りばめました。



先日、宇治にある『三室戸寺』に行ってきました。アジサイ寺とも呼ばれるそのお寺には、見事な紫陽花がたくさん並んでいました。
中でも目を引いたのが、この赤い紫陽花。




紫陽花といえばこの漢字のように、紫、あるいは水色のイメージが一般的に強いかもしれませんが、赤や白もまた素敵で、思わず足を止めて見とれてしまいました。



紫陽花には「七変化」という異名もあるように、いろんな色が楽しめる花。

時には花を飾って、美味しいお菓子も楽しんでみませんか?


上生菓子 一個 170円です。

☎ 0749-62-0804

ホームページはこちらです。


  


Posted by 藤本屋 at 17:14Comments(0)上生菓子

2016年06月10日

ドリアン助川「あん」

日がな一日本を読んでいたい。それが私の願望です。かないませんが…。


本が好きです。特に小説を多く読みます。

図書館や本屋さんで、タイトルに和菓子に関する言葉が入っているものを見つけると、ぴたっと足が止まります。

そのぴたっと足を止められた数々の本をこれからご紹介していきたいと思います。

ほんのお一人でもその和菓子小説を読んで、和菓子そのものに興味をもってもらえたら…。

それでもって、当店に足を運んでいただけたらどんなに嬉しいだろう…。

そんなよこしまな思いもございます。申し訳ございません。


さて、第一回目は映画化もされたこちら。

『あん』



映画で樹木希林さんが扮する主人公が、生涯あん(餡)を丁寧に炊き続け生きてきた。ざっくり言うとそんなお話です。
そこには表紙にもあるように、どら焼きが出てきます。
どら焼き店の店長が、主人公のおばあさんにあんこの炊き方を教わるシーン。汗の流れる様子が手に取るように伝わってきます。そしてどら焼きの焼けるいい香りが、読みながら鼻をくすぐるようでした。

この物語はハンセン病について語られています。正直詳しい知識のない私には、どこか遠い話のように思えてしまったのですが、本の裏表紙にあった言葉「生きる意味とはなにか」に集約されている、深い作者の思いが伝わってきます。


当店にも当然ながら「あん」があります。
ただの「あん」ではあるけれど、時には誰かの特別な「あん」になるのかもしれないなと、うれしくもあり、身の引き締まる思いにもなります。

和菓子に興味のある方もない方も、樹木希林さんのファンの方もそうでない方も、是非読んで頂きたい一冊です。
この映画化にあたり、主人公の徳江さんは樹木希林さん以外に考えられなかったのではないかと思うほど、ドンピシャのキャストだと思います。映画見てないですが…(笑)

どら焼き、食べたくなってきました。残念ながら当店では作ってないのです。残念!

ホームページはこちらです。



  


Posted by 藤本屋 at 19:06Comments(0)和菓子本

2016年06月09日

水無月

早いもので、この「滋賀咲くブログ」に引っ越してきてはや一年が経ちます。

おつきあい頂いてきた皆様ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。


さて、梅雨に入りました。少々うっとおしいですが、関西の水がめ琵琶湖のためにも、雨は必要と我慢いたしましょう。


今日は6月ならではのお菓子の紹介です。

水無月

白い三角のういろうに小豆をのせています。


水無月は『夏越しの払い』という神事にちなむ菓子で、白い三角の形は氷に見立てたものと言われています。

『夏越しの払い』とは、6月30日に各神社で行われる神事のことです。半年間の穢れを落とし川に流す、とか、茅の輪をくぐる、とか、そういったことをするのだそうです。

そして、来たるべく暑さを乗り切るためにこの水無月を昔から食べてきたと言います。

小豆は体の毒気を取る、と古くから言われてきたため、厄払いの意味も持ったようです。

和菓子は古来より、神事と深いつながりを持ってきました。


『水無月の夏越しのはらへする人は 千歳の命延ぶといふなり』

これは平安時代に詠まれた和歌です。人の寿命の短かった時代、神事にすがり、菓子ひとつにも思いを委ねたのですねえ。


☎ 0749-62-0804

ホームページはこちらです。



  


Posted by 藤本屋 at 09:53Comments(0)季節菓子

2016年06月05日

麦秋

「のどか」という言葉の響きが好きです。

「のどか」は「長閑」と書くようです。この見慣れない字「閑」という字は「暇」という意味なのだそうです。

門構えに木。ここにはこんな背景が…。

門を入ると庭に木立がうっそうと茂っています。その木立の中を通り過ぎると別世界のように落ち着いていて、静かで気持ちのいい空間が…。つまり、「閑」という字には「静か」という意味もあるそうなのです。こちらの方が「のどか」という響きにはしっくりくるような気もいたします。


「長閑」という言葉をふと浮かべたのは、配達途中に麦畑のそばを通った時です。

ゆらゆらと黄金色の穂先を風にまかせ、のんびりのびのび育ったような麦の群れ。

季節は今まさに「麦秋(ばくしゅう)」。

きれいな言葉ですね。本当に、麦畑だけは秋を思わせるような実り豊かな風景で、のどかな、それでいて贅沢な気持ちにさせられるので不思議です。



「忙中閑あり」という言葉がありますが、「忙しい中にも必ずちょっとした暇はある」とかいう意味だそう。

なんだかあくせくとした日常の中、ちょっとした暇をみつけては、車中からこんなふうに長閑な風景をながめております。まさに「忙中閑あり」。たったこれだけで心癒されます。


「麦秋」。なんだかビールを連想するこの言葉。好きな言葉にランクインです。


  


Posted by 藤本屋 at 19:37Comments(0)ひとり言